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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

よろずな日々

関連キャラクター:ヴェルグリーズ

すれ違う芳香
 私の趣味は読書と香水。
 本の表紙と気分に合わせて選ぶのが何よりも楽しい。
 本は新刊も古本も良い。表紙で選んで内容を楽しむ。
 それが私の読書。とっておきの時間。
「失礼、ハンカチ落としましたよ」
 図書館の本棚を通りすぎた時だった。
 後ろから声を掛けられて振り返るとビックリするくらいカッコいい子がいた。
 彼はふんわりとした笑みを浮かべると、ハンカチを大事な物のように渡してくれる。
(あ…っ、良い香り……)
 微かに触れた手から甘いのに爽やかな香りが鼻腔を擽った。
「あ、ありがとうございます! あの…」
 頭を下げてあげた時、彼はいなくなっていた。
 まるではじめから、存在しなかったみたいに。
 けれど手には確かにハンカチがあって、まるで狐に摘ままれた気分だった。でも。
「………素敵な子、また会えるかしら?」
執筆:桜蝶 京嵐

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