PandoraPartyProject

幕間

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本日のゆづさや

関連キャラクター:結月 沙耶

ひとりじめ
 ヘイト・スピーチを想わせる、ロクでもない、忌々しいほどの自業自得で在った。食物を掲げ、煙へと失せる『それ』に絶望する事すらも出来ない、餓鬼の戯言に誰が手を伸べると謂うのか。只管と善意を並べたところで、ぬくもり、倒れ臥したオマエには齎されないだろう。インスタントな楽園を振り撒いた結果、オマエ自身が解脱不可能だとは滑稽な話ではないか。兎角、鳴いている、ころころと、ごろごろと、腹の虫が嗤っている。食べなかったオマエの所為だ、飲まなかったオマエの所為だ。まったく、イエス・イエスと喧しい……。
 涎なのか胃酸なのか、両方なのかは解せないが、ぬるりと咽喉へと這入っていく。無意識的な引っ掛かりにゲホゲホとやれば、ぐるり、オマエの眼球は忙しなく回転していく。嗚呼、これはきっと夢なのだろう。見渡す限りの甘いものは女の子の幻想なのだから――たっぷりのクリームで包まれたスポンジ、シロップめいてオマエは身投げした。もふんと跳ね返った心地良さは、きっと、オマエの死を表現しているのだ。口を開ける。此処には最早「怪盗リンネ」なんて見当たらない。ただの結月、オマエが僥倖に弄ばれている――。
 遠い、遠い、何処かで何者かが絶望していた。近い、近い、何処かで何者かが哄笑していた。がばりとクリーム塗れなオマエは起き上がり、その、破滅的な『おと』へと全神経を集らせる。わかった。これが地獄からの招待だろうとも、夢幻の与えた試練だろうとも、針の筵を往くのが『おひとよし』の証――これまでも、これからも、皆を救う為に。
 空中散歩と洒落込もうではないか。
 庭園の美しさに中てられるのも悪くはない。

 嗚呼――何故だろうか、ヤケに懐かしい記憶を掘り起こされた気分だ。頭の中で今日の依頼内容を反芻する。子供達の為に『ケーキ』を作り『プレゼント』を配る、そんな、優しさいっぱいの現実だ。甘い甘いクリームに舌を沈めて、笑みをこぼす……。
 ごくり、虚無めいた、筆舌に尽くし難い、落とした魚の影……。
執筆:にゃあら

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