PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

悪行の記憶・善行家の今

イロン=マ=イデンは毎晩しっかり眠り、そしてときたま夢を視る。
浮かぶのは、助けた人々の顔、声、そして……忘れたと思っていた過去の記憶もある。


関連キャラクター:イロン=マ=イデン

ある男の提言
「あの子だろ。よく覚えているよ」
 男は当時を振り返るように目を宙に向けた。
「俺はな、ずっと真面目に生きてきたんだ。誰の迷惑にもならないよう自分を抑えて、いつも頭を下げてばっかりいた」
 男の眉間にしわが寄った。恐らく、カツアゲされかけた時のことを思い出したのだろう。
「俺は誰よりも真面目に生きてきたんだ。なのにあいつらは俺から金をむしり取ろうとしやがった。そんな時に助けてくれたのが、イロン=マ=イデンだよ」
 男の顔に歓喜の表情が浮かんだ。高揚しているのか、身を乗り出して起きたことを話し始める。
「あの子はあいつらの言葉に何も耳をかさず、ぶちのめしてくれたんだ。そりゃあ、スッキリしたよ。正義ってやつは存在するんだって思ったね」
 更に男は止まることなく思いをまくしたてる。
「この世の中、狂ってやがる。正直者が損をして、ずるした人間が上に行くように出来てるんだ。俺はそれが許せなかった。だから、あの子を見た時、俺は震えたんだ。悪をただ悪とだけあの子は見てたんだ。他のなんにも縛られないで、ただ悪を成敗するためだけに動いていた。まるで俺の怒りが代弁されたようだったよ。どんな理由があろうと、悪には相応の罰があるべきなんだ。あの子にはきっとそれができる!」
 男の叫びが部屋に響いた。
執筆:カイ異

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