PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

人形少女食事録

関連キャラクター:ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド

【怪談喫茶ニレンカムイ】ヴァイスの喫茶店訪問記
 練達に所在する希望ヶ浜。
 地球から否応なく召喚され、強制的な日常の変化を受け入れられなかった者達が集う聖域。
 それゆえに混沌や練達、延いては夜妖の事を全て無かった事にする場所。
 そんな場所の一角をヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)は1人歩いていた。
 夕暮れ時。夜妖の討伐という一仕事を終えたはいいが、そろそろ夕食にしてもいい頃だ。家に帰って食事にしても良いが、用意するのが面倒だ。
 ならば、と飲食店を探しに歩いている訳だが。歴史を感じさせる町屋が建ち並ぶそこは夕陽に照らされ、綺麗だ。
「……ん?」
 ふと目にとまった看板。
『怪談喫茶ニレンカムイ』。
 そのお店自体もやはり古い町屋を改装したのだろうが、何の変哲もないただの店である。これで怪談喫茶とは一体。
 好奇心が疼く。何よりもお腹が空いた。
ーーいらっしゃいませ!
 元気よく出迎えてくれた店員らしき少女。更にもう1人別に少女がいるのがわかる。この店の制服だろうか、2人とも似たような姿をしている。とても可愛らしい。
ーーお好きな席へどうぞ。
 店主だろうか、女性が席へ促す。どうせなのでカウンター席へ。
ーーこちらメニューになります。
 見た限り、お化けらしき要素はあるが、これで怪談喫茶を名乗るのは疑問である。
「じゃあ、欲張りセットで……唐揚げとカルボナーラで」
 中々ヘビーな組み合わせである。が、今日は物凄くお腹が空いたのだ。おまけにこの身は人形。太る事はない。
 鶏肉が油に投入され、揚がっていく音。
 パスタが茹でられる音。
 様々な料理の音と匂いが店内に広がる。
「ああ、そういえば」
ーーなんでしょう!
 店に入った時に出迎えてくれた元気な子、翠というらしいーーが応じてくれる。
「怪談喫茶って?」
ーーああ、それなら。
 一冊の本を棚から持ってきてくれたちょっと気難しそうな子、蓮というらしいーーから本を受け取る。
 内容は怪談物だ。
ーーお姉さん、イレギュラーズでしょ?
 聞けばこの店、喫茶店をやりつつ夜妖の情報を集めているらしい。その時に得た情報を本にしたり、本当にどこからか怪談本を入手してきたりしてるらしい。
 なるほど、だから怪談喫茶なのか。
 そんな事を聞いているうちに料理が出来たらしい。
 美味しそうな匂いが食欲をそそる。
 唐揚げ。
 カリッとジューシーに揚がった唐揚げから肉汁が口内に広がる。お好みで塩やレモンをついてきている。
 カルボナーラ。
 生クリームを加えているのだろうか、深いコクが生まれている。
 美味しい。簡単に完食してしまう。満足だ。
 これなら仕事を受けるついでにまた食事に来ても良いかもしれない。
 そう思いつつ帰路に就くヴァイスであった。
執筆:アルク

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