PandoraPartyProject

幕間

かぜのなか

風の足取りを追うだって?
そいつは無茶な注文だ。
第一、かぜには、足はない。
例えどんなに目を凝らしたとて、
草木の揺れが、精々さ。


関連キャラクター:サンディ・カルタ

ゴミ山の英雄。或いは、ある少女の証言…。
「血と泥と砂埃に塗れて、お世辞にも綺麗な恰好とは言えなかった。でも、私の目には輝いて見えた。高価な宝石と綺麗な服で着飾ったお貴族様なんかより、あの人の方がよほどにキラキラしていたよ。ゴミ溜めにも英雄ってのがいるんなら、きっとあんな風なんだろうね」
___スラムの少女、リーベル
執筆:病み月
虚構の様な存在
 スカした奴、ジョーカー気取り、子供の頃に誰もが一度は触れただろう影のヒーロー。
 そんな雰囲気のやつはこれまでごまんと見てきたがビビってすぐに泣く若気の至りか、本物か、そのどっちかだった。
 アイツは、後者さ。俺の絡みにも怯みやしねえ、死線を潜り抜けた真の命知らずの冒険家の目をしてた。
 もっとも、アイツ以外の後者を知らんがね。
 ――冒険者ギルドのダニアン。
悪徳商人への忠告。或いは、風の噂…。
「あんただろ? スラムのガキ共を使ってあこぎな商売やってる商人ってのは? 悪いこたぁ言わねぇから、何もかも捨ててとっとと街から出て行けよ。あ? なんでって……いいか、この街には今、サンディ・カルタが来てるんだ。商人なら、命とプライドのどっちが高ぇか分かんだろ?」
___名も無き浮浪者
執筆:病み月
過ぎ去ってゆくひと
 やさしい、と言えばやさしい人よ。優しいか易しいかは置いといて。
 女の子が困っていたら見捨てるような人ではないわ。むしろ体を張って助けてくれちゃうような人。私も何度か重たい荷物を運ぶのを手伝ってもらったしね。
 でもどうしてかしら。あの子がいつかパンを買いに来なくなっても、私はしばらくして思い出すくらいだわ。「ああ、あの子来なくなったのね」って。
 だって、風に行先を訪ねる人も、追いかけて留めておこうとする人もいないでしょう。
 もしいたら? そうね、それはきっと相当な変わり者か、その風に焦がれて止まないのでしょうね。
 ――大通りのパン屋の看板娘、レニィ
執筆:凍雨
裏路地に光る風
 背広の男が嫌がる女の腕を無理に引っ張る。
 彼女はこの裏路地には珍しい作業着で長い髪を隠す様に帽子を被っていたが、酔った男にぶつかった衝撃で地面に落ちていた。
 自分がふらついてぶつかったと言うのに男は彼女を怒鳴ろうとして、ナンパに切り替えたのだった。
「そのぐらいにしとけよ、おっさん」
 男が一緒にホテルへ行けば見逃してやると言い掛けた時、その声は降ってきた。
 男が不機嫌そうに頭上を見上げた次の瞬間には風圧で地面に倒れ伏していた。
 残ったのは訳も分からない女と赤毛の少年。
「……もしかしてサンディ?」
「早く店に戻んな。修理屋のおっちゃんが困ってたぜ」
「おい待てよ、クソガキ! 俺が目ぇ付けた女だぞ!」
 衝撃からようやく起き上がれた男が逃すまいと立ち上がって女を引き寄せようとする。
 それをサンディが男の手を遮るように壁を強く蹴って睨み付ける。
「お前からぶつかっておいて、抜かすなよ。それとも財布ごと奪われたいか?!」
 小柄なのに妙な迫力を持つサンディに怯んだのだろう、男はありきたりな捨て台詞を吐いて走り去った。
「あの、ありがとう。助かったよ」
「別に。たいした事じゃない」
 成金が、と吐き捨てたサンディはそのまま軽く手を振ると裏路地の雑踏に紛れていった。

「……ていうのが、アタシとサンディの初対面。噂には聞いてたけど、本当に優しい子だよね。なんでか怪盗ぶってるけど」
ーーよろず修理屋のアルバイト、エリー
執筆:桜蝶 京嵐
パン1つの代償。或いは、ドロップキックの後日談…。
「サンディ・カルタぁ? ちくしょう、俺の前であの野郎の話をするんじゃねぇよ! 見てみろ、この潰れた鼻を! ぐしゃぐしゃに砕けて、2度と元にゃ戻らねぇし、いつだってズキズキ痛みやがる!! ほかならぬサンディの仕業だよ! まったく、老い先短けぇ婆からパンを奪って何が悪いってんだ!」
___街のゴロツキ、ゴドヴァン
執筆:病み月
かっけーにいちゃん!
 え、なになに、サンディにいちゃんのはなし?
 おれたち、サンディにいちゃんにあこがれてんだ!
 いつもおれたちがこまってたらたすけにきてくれるんだ!
 おれたちのヒーローだよ、サンディにいちゃん!

 ――幻想の少年、ライ
執筆:
Q.サンディカルタはどんな人物だと思いますか?
「ああ、あの大怪盗くんね? 面白い子よね。わざわざおチャラけなければもっとモテるでしょうに。でも、周りの人達から愛されているのは間違いないと思うわ。人を惹きつける何かを持っているんでしょうね」――酒場『イーグルマン』の歌姫

「赤茶の髪で目の色が青の……ああ、アイツか!! いやあ、ビックリしたよね。あんだけ馬鹿勝ちして一瞬で大金稼ぐ奴も、あんだけ調子に乗って一瞬で儲けがパァになる奴も中々いないからさぁ」――とあるカジノのディーラー

「アイツ、ニククレタ。イイ奴」――喋る犬

「サンディ・カルタ? ああ、あの……そうねえ、最初はただのチャラいガキだと思ったけど、接してる内にもしかしたら影のある男なんじゃないかと思って……で、そっから更に一周したらやっぱり普通にチャラいガキなんじゃないかと思ったかな……え、結局今はどう思ってるかって? う~ん……まあ、イイ奴には間違いないしどっちでもいいんじゃない? アッハハハ!!」――道具屋の女店主

「色んな意味で器用な奴だな。投げナイフだなんだと、手先が器用って意味もあるが……いわゆる処世術って奴かな。相手に応じて上手い距離感を測って接する器用さも持ってると俺は思う。女の目の前で格好つけてる時以外は」――顔に傷があるイレギュラーズ
執筆:のらむ

PAGETOPPAGEBOTTOM