PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

食べないでください!

関連キャラクター:ベーク・シー・ドリーム

猫VSたい焼き。路地裏での決戦

「ニャー」
「あー……まあまあ、まあまあまあ。まあ待ってくださいよ。話し合いましょう。いや、話し合いましょうニャア」
「……」
 突然だが、ベーク・シー・ドリーム(たいやき姿)は猫の軍団に取り囲まれていた。
 ぶらぶらと上機嫌で町を散歩していたベークは、上機嫌のままに路地裏へと不用意に足を踏み入れた。
 そこが、獲物に飢えた猫共がひしめく魔の路地裏だとも知らずに……。
「ね? ほら、今時猫が魚をくわえてどうのこうのなんて流行りませんし。それよりピーナッツとか食べません? おいしいですよ、ピーナッツ。あれ、猫ってピーナッツ大丈夫だっけ……あー、やっぱりピーナッツじゃなくてカシュ―ナッ」
「フシャーーーッ!」
「ごめんなさい」
 猫たちは数を増やしながら、徐々にその包囲網を狭めていく。
 喰われる。しかし猫相手に暴力を振るのはあんまり良くないと思う。
 いやでも道に落ちてるたい焼きを貪ろうという考えも、それはそれで良くない考えだと、
「グルフシャーーーーーーーッ!!」
「ごめんなさい」
 怒られた。
 猫達は舌なめずりをして、瞳を細めギラつかせる。そしてその鋭い牙がキラリと光ったかと思うと――。
「「「「グルグルフシャーーーッシャッシャッシャーーーッ!!」」」
「うわあきたあああ!! 鳴き声が全然可愛くないーーっ!!」
 一斉に飛び掛かる凶猫共。ベークは尾びれをバシンッ!! と地面に叩きつけて跳び上がると、スレスレの所で強襲を避ける。
「あぶ、あぶ、あぶない……!!」
 空中で必死にパタパタと身をくねらせながら回転し、ベチャっと地面に着地する。
「ギニャガグルギシャァアアアアアアアッ!!」
「うわあああ!! もう来ないから許してください!! 鳴き声が怪物じみた猫さん達ーーッ!!」
 華麗なる跳躍により包囲網を突破したベークは、尾びれをバタつかせながら駆け出した。
 飢えた凶猫の執念は凄まじく、表の路地に抜けて酒場の中を突っ切り、屋根の上から上へ飛び移って池を泳ぎ渡っても決して諦める事は無かった。
「ゼエ……ゼエ……なんという食への執着……!! でも、僕の勝ちの様ですね……!!」
 だが、ついに振り切る事に成功した。最後はどこを走っているのか分からない位必死だったが、どうにかなった様だ。
「フゥーー……ん?」
「ワン」
 息を整え前を見ると、舌を出し涎を垂らしながらこちらを凝視する黒犬がいた。
 周りを見回す。周りにもいた。
 そう、ここは飢えた犬共がひしめく路地裏だったのだ……。
「あー、まああまあまあ。ほら、あれですよ。魚をくわえてどうこうするにしても、それをやるのは犬じゃなくてやっぱり猫」
「グルバァアアアウッ!!!」
「ごめんなさい」
執筆:のらむ

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