PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

食べないでください!

関連キャラクター:ベーク・シー・ドリーム

酔っ払いのおっさんども
 宵闇には少し早いか。夕暮れ時にその二人組はゲラゲラとくだらない話で腹を抱えながら歩いていた。
 だが互いにピタリと歩みを止めて、スンと鼻を鳴らして周囲を見回す。
「オイ、なあ、待てよ。なんか匂うぜ」
「ああ、なんとも香ばしい──それでいてプーンと甘い香りが漂ってやがる」
 ローレットの依頼を終え、帰路につくためすいすいと町中を泳ぐように移動していたベークは、そんな不穏な会話を不幸にも耳にしてしまった。
(間違いない、僕のことだ……か、隠れなきゃ)
「あっ! あれは鯛焼き屋の屋台の看板か? ちょい酔っ払いすぎたか……!? なんか動いてるように見えるぜ」
「いや、間違いねえぜ。あの鯛焼き、デカすぎんだろ……俺、酒飲んだあとは甘いモン食いたくなるタチ」
「俺も~~! おーい、おーーーい! お前、いくらだ~~!? おいくら万円だ~~!?」
「おい逃げんなよ! そのデカい鯛焼き、売ってくれよ!!」
「ヒィィイイ!!! 僕は食べ物でも売り物でもありません!!!」
 実際酔っ払いのおっさんにお前いくらだ~~!? とか言われながら迫られたら恐怖でしかない。ので逃げる。
 酔っ払い二人と鯛焼き(ではない)の地獄みてえな追いかけっこが不本意にも始まった。
 周りの人々は「ああ、いつものことね」とニッコリ和やかに見ていた。助けろ。
執筆:りばくる

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