幕間
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よろずな日々
よろずな日々
関連キャラクター:ヴェルグリーズ
- ヒトガタ
- ●
命の意味。
その、答え。
●
奪うだけが命であろうか。
奪われるだけが生であろうか。
その問いは覆されることはなく。ただ剣としての生涯を甘受している。
剣を振るうならば多くは『奪う』意味を理解し、『奪われる』覚悟を持ったものにこそその才は授けられる。
痛む胸の意味はまだわからない。
ひとのなり損ないと詰られれば、そうだと答えるしかない。そんなヒトガタのなにか。それがヴェルグリーズたるいきものだ。
涙の理由も。怒りの意味も。とってつけたように、解ったふりをして。そうして人のなかに混じりきれずに浮かんで、己の弱さをまたひとつ理解する。
その心の理由がわからない。
共感に欠けると言われれば苦笑せざるを得ないが、その苦笑すらもひとの真似だ。
これまで自分を得た誰かの感情の模倣の繰り返しで『ヴェルグリーズ』は存在している。
無感情な誰かではなく、ちゃんと生を謳歌した誰か。故に彼の感情は押し付けで傲慢だ。
散々だ。ああ、本当に。
ひとの真似事は難しい。それ以上に、正解がないから解らない。
しあわせだと。さいわいだと。そう仄かに笑ったときでさえ、己の不確かな感情を呪わずにはいられない。
――ああ。
ため息ばかりがこぼれていく。
夢を見ていた。
人のように生きる夢を。大切な友と、人として生きる夢を。
けれどそれは叶わない願いで。愚かな程に己の立ち位置を知らしめる醜い劣情だ。
俺はひとにはなれないし、ひとと同じにもなれない。
ヒトの痛みを解ったようなふりをするなよ――たかだか、道具の分際で。
それならば。あの時、感じた感情のすべては、偽りだったのだろうか?
わからない。
(――どうすれば、)
この気持ちが正解だとわかるのだろう。 - 執筆:染