PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

よろずな日々

関連キャラクター:ヴェルグリーズ

御伽噺の魔法使い
●菫紫の誘い
「……」
「……どうしたんだい商人殿。そんなに見つめて」
「いや。遊びの余地が生まれたと思ってね」
「"遊び"?」
「そうとも」

 ソレは、ヴェルグリーズを……正確には彼に走る痛々しい「ヒビ」を指差すとクツクツと愉快そうに笑った。

「キミは良くも悪くも"完成された剣"であったから。ま、実用剣である以上完成していて当然なのだが……。そこに"何か"を継ぐことができる機会が生まれたのは奇跡的と言っていい」
「そう、なのかい?」
「普通の鍛冶師じゃ匙を投げる。飛び抜けた鍛治師なら何とか元通り。それ以上をキミが望むなら、」

 詠う様なソレの、長い前髪の下の瞳と視線が合った気がしてヴェルグリーズはなんだか目が離せなくなる。

「それ以上を、望むなら?」
「ヒヒ……広告はここまで。続きはサヨナキドリへおいで。我(アタシ)の小さな工房へ」
「気になるところで切られちゃったな……」
「何、悪い様にはしないとも。我(アタシ)はキミを護り刀の様に気に入っているからね」
執筆:和了

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