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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

『仮面の舞姫』

関連キャラクター:雨紅

運命的な小雨の日。
 雨を背景に舞うそれは、美しく妖艶なものだった。
 簡易な屋根しかない野外劇場、旅の一座の後、登場した彼女はあっという間に世界をものにした。
 爪の先まで白く美しい手が繊細な感情を伝えるべく一本一本、独立した動きを魅せる。
 それでいて足先も滑らかに動き、此処がどこだったのか忘れさせる。
 視線なんて仮面で遮られて分からない筈なのに、色気ある目線を感じて胸が高鳴り続ける。
 衣装もまた、全ての動きを計算した上で作られているのだろう。
 強烈な赤の袖が、金魚のように優雅に泳ぐ姿は悪戯な恋心のよう。
 金の装飾が雨によって幾つもの反射を生み、手の届かない宝石のように煌めく。
 惹き付けられて目が離せないほど、美しい世界観が構築されていた。
 ……果たしてどれくらい彼女は舞っていたのだろう。
 きっと時間に直して仕舞えば数分の出来事だったろう。
 にもかかわらず、その場いた全員が座席から立ち上がって拍手していた。
 大量の金を渡すついでに握手を求める人もいた。
 私は彼女の名前と特徴を記録してその列に加わった。
執筆:桜蝶 京嵐

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