PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

ゴリョウ亭の今日のごはん

関連キャラクター:ゴリョウ・クートン

アブラボウズとゴリョウの教え子
「ゴリョウ殿。少々知恵を拝借したいのですが、良いでしょうか?」
 そろそろ夜の仕込みを始めようかという時間、顔を覗かせたのは彼者誰だった。
 今日は朝から依頼で店には寄れない筈だった彼がハッキリと困った顔をしてゴリョウを頼るのは珍しい。
「おう、どうした? なんぞ不埒な輩でも押し掛けてきたか?」
「いえ、依頼で現地の方からお礼の品を頂いたのですが……」
 調理法が分からないんです、と彼者誰が見せたのは深海魚のアブラボウズだった。
 血抜きされたそれはかなり高級品だが、大きさ故に捌き方の検討がつかなかったのだろう。
「こいつは上等だなあ。よし、良いぜ! とびきりのもんを作ってやる!!」
 ゴリョウはまず、慎重な手つきで二枚におろしていく。
 アブラボウズは見た目のゴツさと大きさに反対に骨は脆く、身は柔らかい。
 半身をさらに食べやすいブロックに分ける
「開いてビックリですね、こんなに身が詰まっているとは。ゴリョウ殿、半分貰ってくれませんか?」
「良いのか? 彼者誰が貰ったものだろ?」
「いくら俺が大食漢でも妹と二人では食べきれませんから」
 それを聞いたゴリョウは身を平造りに。鍋に醤油、料理酒、みりんをそれぞれ入れて火にかける。
「彼者誰、アルコールが飛んだらもう降ろして粗熱を取ってくれ」
「承知しました」
 火の番を彼者誰に任せ、次は味噌漬けに取り掛かる。
 自家製味噌にみりん、料理酒を混ぜ合わせてまんべんなく塗り込む。それを冷蔵庫へ入れ、彼者誰を振り返る。
「味噌漬けの方は明日が食べ時だからな、後で漬けと一緒に持って行って明日の飯にすると良いぜ!」
「お気遣いありがとうございます。折角なので、俺はこのまま夜の仕込みを手伝ってから帰りますね」
 ゴリョウは彼者誰の申し出を有り難く受けると、店の黒板に『数量限定 アブラボウズ入荷』と書きに行くのだった。
執筆:桜蝶 京嵐

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