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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

アルムのカフェ巡りノート

関連キャラクター:アルム・カンフローレル

偶には抹茶でまったりと
 今日は豊穣の一角、青々とした緑が美しい樹々に囲まれた茶店で一服。
 縁台に腰掛け、赤い傘の下でアルムはお気に入りの本を読みながら注文の品を待っていた。
 頁の文字を夢中で追っていたアルムだが、店員の「お待たせしました」という声で我に帰る。
 今日のメニューは栗饅頭と濃い目に淹れた抹茶。
 珈琲も合いますよ、と店員は勧めてくれたがせっかく豊穣に来たならばお茶を楽しみたい。
 読みかけの本に栞を挟んで傍に置く。そっと皿を持ち上げ栗饅頭をぱくりと一口。
 ほっくりした栗の食感と控えめな甘さが読書で疲れた脳にじんわり沁みて、アルムは目を細めた。
 続いて、抹茶を啜る。
「んっ!!」
 慌てて受け皿へ湯呑みを戻し、椅子に置く。苦いお茶というイメージはあったが、想像以上だった。甘いお菓子を先に食べたから余計だろうか? でも、嫌な苦みではない。むしろお茶の良い香りがして、上品な味。とでも言えば良いのだろうか。
 今度は先に抹茶を飲んでから、栗饅頭をぱくり。
(あっ、美味しい……)
 本来は抹茶の味を引き立てる為に、甘いお茶菓子を出すのだが逆もまた然り。また、此処に順番が違うなどと咎める無粋者は居ない。

 小鳥が囀って、初夏の爽やかな風がアルムの長い髪を揺らす。うっかりすると寝てしまいそうな心地良さ。そんな昼下がりの一幕。
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