イラスト詳細
サンディ・カルタのむつきによる2人ピンナップクリスマス2023
サンディ・カルタのむつきによる2人ピンナップクリスマス2023
イラストSS
「え?」
シキが驚いたような声を上げたから、サンディは自分も驚いたように目を丸くした。
そうして不思議そうに振り返る彼女の瞳を見詰めた後、手元を見下ろす。手の中にある頼りない温もり。やってしまったという後悔と、ほんの少しの安堵がサンディの心を満たす。
――気付けば彼女の手を引いていた。
今日は二人で流星群を見に来ていた。
けれど、どうにも雲たちの機嫌が悪い。空を隠したり、薄く見せたりと意地が悪い。今から降り始めるという時刻になっても、星の煌きは余り大地には届かなかった。
「こればっかりは仕方ないね」
シキがいう。
きっと彼女が正しい。ずっと寒空の下にいたら風邪を引いてしまうだろうし、このままいたって流星群が見られるとは限らない。彼女の判断は正しい――けれど、と思うサンディがいた。
この流星群はきっと数十年に一度。だからきっと、彼女とみられるのはこの一度きり。まるで子どもの癇癪みたいに、サンディはこの時機を逃したくないと思ってしまった。
だからだろうか。勝手に手が伸びて、彼女の手を捉えてしまったのは。
雲と雲のあわい、流星が空を駆け抜けていく。サンディは其れをシキの湖のような瞳の中に見て――言い訳を考えるより先に、綺麗だと、思った。
※SS担当:奇古譚