イラストSS

「ええい、開けなさい！！せっかく来てくれたサンタさんを締め出すだなんて、失礼だとは思いませんの！！？？」
「帰れ帰れ！　プレゼントは置き配で頼むわ！」
　サンタは靴下に虹をプレゼントしない。
　サンタは窓をこじ開けて人ん家に入ろうとしない。
　サンタの赤ら顔はそんな明らかに酒焼けしたような、どう見たってなんか「やって」んなって顔ではない。
　つまりあれは、サンタのコスプレをしただけのただの不審者である――シラスはそこまで分析するまでもなく、ヴァレーリヤの侵入を阻止した。
　文字通りの窓際の攻防。シャイネン・ナハトを幸福のうちに過ごしたシラスが意識を手放す前にその音を耳にしたのは果たして幸か不幸か。
　今まさに窓をこじ開け入ろうとするヴァレーリヤ。それはいい。良くないが、まだ許そう。
　問題は、その腰にエメラルド色に輝く酒瓶が吊ってあることだ。……あきらかに酔ってるじゃないか！
「バチが当たりますわよ！」
「お前が一番バチ当たりなんだよ！！」
　家を蛍光じみた虹色に染めたくない――！
　心の叫びが尾を引いて流れ、争いは夜半迄続いた。
　ところでその、枕元の靴下の中身は……？

　※SS担当：ふみの