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君とふたり、コーヒーを
君とふたり、コーヒーを
イラストSS
星の流れる空の下。あなたはわたしに沢山のものをくれた。
思い出が、微笑む顔が、暖かな感触が、わたしを形作っていく。
あなたが、わたしを作ってくれたのよ。
星の流れる馬車旅の、そのさなかのこと。
丸太の横たわるキャンプ地で、ステラとアルムの二人はたき火を囲んでいた。
「素敵ね……ぱちぱちって、たき火の音がして。けれど静かで……」
たき火の上に置いたポットがことことと音を立て始め、アルムはポットを火から離す。
予め用意していたコーヒーセットを組み立てると、豆の入ったフィルタに湯をゆっくりと注ぎかける。
立ち上るコーヒーの香りが鼻孔を、そして心をくすぐった。
アルムは『神様の見習い』だ。そういう意味では、『滅びを見守る少女』であったステラとどこか似た存在だと言えるだろう。
本来の使命から離れ、世界を守る決意をした彼女と、自分。そのシンパシーはどこか暖かな感情となって胸に灯った。
そしてそれは、彼女を護りたい、成長を見守りたい、そして共に学びたいという気持ちへと昇華していく。
「ねえ、アルム」
揃いのキャンプ用マグカップを手に、淹れてもらったコーヒーに口をつけるステラ。
「これも、わたしにとって大切な思い出になるわ。わたしを、形作る思い出に」
それは二人だけの暖かな時間。
大切な大切な、思い出の時間。
※SS担当:黒筆墨汁
挿絵情報
- 公認設定『二つ目の鍵』