PandoraPartyProject

イラスト詳細

最期に伝えたかった、伝えられなかった言葉は

作者 Mew
人物 イーリン・ジョーンズ
天之空・ミーナ
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2023(サイズアップ)
納品日 2023年12月24日

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イラストSS

 午前1時30分。
 幻想の街角、端から数えれば9809番目あたりの――。
 名もなき場所にイーリンは一人佇む。
「……」
 その日、不覚にも彼女は事実を隠せずにいた。
 人である部分が魔力へ置き換わっていく。
 体重も、記憶も、想いも、寿命も。
 何もかも。失われようとしている。
「あ、どーも。通りすがりの一般人Bです」
 そこへ赤い翼をはためかせ、あの日と同じようにミーナが降り立った。
「……うん?」
 偶然の再会。
 奇しくもそこは、二人が初めて出会った場所。
 けれどもあれから、六年の歳月が経っている。
「風からここに死神が必要だと聞いて」
「えっ、と……」
 光の消えた瞳。
 真実を知る友として、ミーナは寄り添う。
「分からなくていい。忘れてもいい。私は一般人だから」
 でも、側に居させて。

~~~

 ベンチに座り、ただ一緒の時間を過ごす。
 彼女が元のイーリンに戻るまで。
「それで干し肉が――」
 聞こえ始める寝息。人が生きるための活動。
「……イーリン」
 最初の出会いは、すれ違った。
 この再開も、残らない最悪の形だけど。
「大切な人。私にはきっともうすぐ終わりが来るけど……もう、間違えない」
 衰えた体で何とか抱き上げ、憩いの書庫へと眠り姫を連れていく。
 最期に伝えたかった、伝えられなかった言葉を添えて。
「またね。――」

 ※SS担当:pnkjynp

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