イラストSS

　バッグに靴にドレスにコート。そして色とりどりの宝石。シャイネンナハトシーズンの百貨店のある通りは実に華やかだ。ツリーはもちろんオーナメントで飾り付けられ、イルミネーションもまたたいている。

──あの宝石、ボクの瞳に似ている。

　そう思って惹かれたアパタイト。周辺には宝石を引き立たせる花や額縁。ラナンキュラス、アイスバーグローズ、スイートピー、グラジオラス。アパタイトは中央に座している。ショーウィンドウのガラスに手を付ける。違う。あんな気高いものじゃない。これは弱さの証。
　大丈夫と言ったけど結局は大丈夫ではなくて。何も出来なかったボクに残ったもの。でも「仕方なかった」で済ませることも出来なくて。治療も拒んだ。
　アパタイトのように輝く左目の水晶。割り切れない。そう思うと自然と眉間にシワが寄る。
　自分には刻印が残るばかりだ。絶対に見せることのない首元にも呪印が残る。

「……はは、何て顔をしてるんだろう。ボクは」

　目を閉じ、開く。気持ちを切り替える。せっかくここまで来たのだ。ワインでも買って帰ろう。それと魚のマリネを合わせて。今日は飲みたい。そんな気分だ。

　※SS担当：7号