イラストSS

　今日は二人が恋人として迎える初めてのシャイネンナハトだ。
　夜空には月が浮かび、舞い散る雪はその輝きを受けて淡く輝いているように見える。
　ベネディクトは屋敷のバルコニーに立ってそんな幻想的な景色を眺めていると、背後に気配を感じて振り返る。
「お待たせ致しました」
「いや、待ってはいない」
　いつも通りのメイド服を着た、愛するリュティスにそう答えて微笑む。
　ワインを注いだグラスを合わせて小さく乾杯をすると、目の前に広がる景色を眺めながら二人は談笑を続けた。今までの事、これからの事。取り留めのない会話だが、恋人と共に過ごす時間はシャイネンナハトよりも輝かしく感じられる。
「キスをしてもいいだろうか？」
「えぇ、どうぞ」
　死を覚悟した戦いを乗り越えて掴み取ったからこそ得られた、愛する人との穏やかな時間を大切にしたい。
　そう思えば、自然とベネディクトは言葉を発していた。
　リュティスは淡々としているが、キスの意味を分かっているのだろうか。いや、これから分かって貰えばいい。
　そっとリュティスの背に手を回して抱き寄せると、反対の手をその顎に沿えて上を向かせる。
　目を閉じた二人の顔が徐々に近づき、そして唇が重なった。

　※SS担当者：東雲東