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輝く夜の贈り物、と/くらいIL
輝く夜の贈り物、と/くらいIL
イラストSS
マフラーを巻いて上げたいと、屈んだ彼の頬に口づけをした。
晴明は驚いたように目を見開いていたがメイメイは赤くなった頬を隠さずに「おいや、でしたか?」と問うた。
「いや……驚いた、だけなんだ」
「はい」
体が成長をして、大人びた。それでも晴明との年の差があって彼はあまりにメイメイを女性として扱っていないように思えたのだ。
けれど、ちがう。この人には女の子としてみて欲しい。
愛おしい人の一番になりたいというのは、きっと誰だって同じなのだから。
「あなたにそのようなことをされてしまうと……」
「……はい」
「俺も、あなたになにを返せば良いのか……」
どこか戸惑ったような顔をしてから晴明はそっとメイメイの唇を親指でなぞった。
ぴくりと羊の耳が揺らぐ。その様子を確認してから晴明ははたと動きを止めた。
「贈り物を有り難う。俺からもあなたに何かを用意しようと思う。待っていて貰っても?」
「え、あ……はい」
頷くメイメイに晴明はぎこちない微笑みを浮かべてから役人の呼び掛けに「待っていろ」と返した。
――本当は少し意気地無かったのだ。彼女が好いてなど居ない相手にこんな事をするわけがない。
唇を重ね合わせ、その好意に答えるべきだっただろうか。ああ、けれど、悩んでいる内はそんなことをするべきではないと。
晴明は少し途惑いの息を吐いてから肩を竦めた。
*SS担当:夏あかね