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夢見 ルル家の棘ナツによる2人ピンナップクリスマス2022
夢見 ルル家の棘ナツによる2人ピンナップクリスマス2022
イラストSS
鉄帝の状況を鑑みれば、クリスマスムードに浸ってばかりもいられない。治安の悪化に加え、飢えと寒さに苛まれる人々のことを考えれば、現地ではどこか自粛ムードが漂うものだ。それでもささやかではあるが、シャイネンナハトの夜、聖夜を祝いたいと考える者もいる。その中には、夢見 ルル家、ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤの2人も含まれていた。
無数の流星が瞬く夜――ルル家とヴァレーリヤは、革命派が拠点とする巨大移動要塞『ギア・バジリカ』からこっそり抜け出した。
ギア・バジリカから少し離れた場所、廃屋の向こうに焚き火の灯りが見え隠れする。そこにルル家とヴァレーリヤの姿があった。
ルル家は焚き火と2人分のグラスを用意し、ヴァレーリヤは革命派の物資の中からぶどう酒を調達してきた。廃屋のそばで落ち合った2人は、互いに聖夜を祝福する。
「輝かんばかりのこの夜に!」
祝杯を交わす2人は、楽しい思い出話に花を咲かせる。ヴァレーリヤは、ルル家が携わっているカフェのことを話題にあげる。
「……ふふ、『路地裏カプリチオ』で飲んで騒いだのを思い出して懐かしいですわね」
ヴァレーリヤは、薪が燃える様を眺めながらつぶやいた。ヴァレーリヤの表情はどこかしんみりとした様子にも見えたが、それを払拭するようにルル家は声を弾ませる。
「えぇ、またみんなで祝杯を上げるとしましょう! その時は、出来ればお手柔らかにして頂けると嬉しいですけどね!」
今だけは目の前の憂いを忘れようと、2人切りの祝祭はぶどう酒のボトルを空にするまで続いた。
※SS担当者:夏雨