PandoraPartyProject

イラスト詳細

新商品、発売前夜に全滅!

作者 7号
人物 ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ
ウルズ・ウィムフォクシー
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2022(サイズアップ)
納品日 2022年12月24日

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イラストSS

● It's too late to lock the stable door when the horse has been stolen.
 素敵な夜のひと時には、ワイングラスの上で踊る赤の葡萄酒が良く似合う。フルーツを漬け込んだ見目麗しいサングリア、いじらしい華の様に身を広げたレモンやオレンジと香辛料を効かせたヴァンショーは夢へと耽る前に飲むのが最適。
 今年の葡萄も過酷な環境に耐え、美味しく育ってくれた可愛い仔達。誰かの――或いは自分の喉を潤して笑顔を齎してくれる事を願って、上機嫌で自室に戻りベッドに入ろうかといった頃合い。
 微かに聴こえた物音と厭な予感――にランタンを握る手が汗ばんだ。

「だ、誰か居るんすか!? えっ、ゆゆゆゆゆゆ、幽霊とかじゃないっすよね!?」
 『泥棒か幽霊だったら返事をして下さいっす!』だなんて、仮にそうだったとしても返事は返って来ない様な滑稽な事を声を張り上げたら。
「はぁーい! 此処ですわー、此処に居ますのですわ~!」
「うわ喋った! じゃない、えっ……ヴァレ……先輩!? こんな所で何を……」
 ある意味、其れは幽霊であるとか妖の類であった。そう、名付けるなら――『妖怪お酒舐め女』。お酒舐め女は酒の在るありと凡ゆる場所に現れる。『舐め』とは云ったがしこたま呑んで終いには虹を吐く恐ろしい妖怪であった。

「これとっても美味しいですわ〜〜!ねえウルズ、此処で一番美味しいお酒は何処にありますの?
 一寸だけ味見してみてもいいでしょう?」
「お褒めに預かり光栄っす……?」
 呆然と立ち竦むウルズに『もっと持ってこーい!』と空の酒瓶を掲げるヴァレーリヤ。
「……はぁ。まあ良いっす。自分もご一緒させて頂いても?」
 こうなっては仕方がない。呑む日が一日早まっただけだ――そう、自分に言い聞かせ――其の夜は更けていくのであった。

 ※SS担当者:しらね葵

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