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ヴェルグリーズの柿田による2人ピンナップクリスマス2022
ヴェルグリーズの柿田による2人ピンナップクリスマス2022
イラストSS
希望ヶ浜センタービルの二十五階。
美しい夜景が見られる静かなバーを訪れたヴェルグリーズと暁月。
窓側のソファ席を案内されて座れば、確かに煌めく夜の明かりが見えた。
「壮観だね。この国以外じゃ見られない光景だ」
「確かに……たまにはこういう所で飲むのも悪く無いね」
テーブルの上にはキャンドルの明かりが灯され、時折思い出したように揺らめく。
「暁月殿は何を飲むんだい?」
「ウィスキーかな」
泥炭の香りを孕むアイラモルトが暁月は好きだった。口の中に広がるスモーキィな香ばしさと後に残るヨウドの甘みが好みなのだ。
「じゃあ、俺も同じのにしようかな」
「良いのかい? 他にもあるよ?」
「うん、いいんだ。暁月殿と同じので」
同じものを飲んで食べることは、それだけ共有の思い出が刻まれるということ。
ヴェルグリーズはそれが楽しいのだ。
リン、とグラスが重なる音が響く。
仄かに聞こえる人の声と、アルコールの辛さは心地よいものだ。
グラスを傾ければカラリと氷が鳴った。
「メリークリスマス」
他愛の無い楽しい時間は、二人にとって掛け替えの無い思い出となるのだろう。
この一時だけは、当主でも別れの剣でもない、ただの友達同士なのだから。
※担当:もみじ