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緑の国での赤き贈り物
緑の国での赤き贈り物
イラストSS
●It always seems impossible until it’s done.
誰かの泪を洗い流す様な、或いは隠してくれる様な、優しい雨が降ったあの日から、何れ位の時間が経っただろうか。
熾烈な戦いの爪痕は未だ深緑の至る所に根深く残っており、心に痛みを抱えた儘に暮らしている人が沢山居て。復興費だって馬鹿にならず、此の厳しい冬の寒さに身を寄せ合うのがやっと、といった人々も少なくはない。子供も幼い乍らに現状を憂い、大人の様々な事情を理解していた。
『だからこそ!』と奮起した焔とアレクシアが山程のプレゼントを抱えて周辺の村々に訪れれば、わぁっと歓声が湧いた。
「はい、どうぞ!いい子にしてた皆にプレゼントだよ!」
「並んで、並んで慌てなくて大丈夫。君は何色が好きかな? 青! はいどうぞ」
誰かが笑顔になれば、忽ち其れは伝播して温かいもので満ちる。早速リボンと包装紙を解いて玩具を片手に走り回る、小さき者達の代わりに村長や大人達が礼を述べれば『なんのなんの』とふたりは首を振る。
「雪が融けて春に為れば自然と草花は芽吹くから……是から深緑は立ち直っていくんだ!」
「んだね! おじいちゃんもお父さんお母さんも。風邪引かない様に気を付けてね、だよ!」
――「「せーの! 輝かんばかりの、此の夜に!!」」
※SS担当者:しらね葵