イラストSS

「リュティス。少しだけ此方へ」
「はい、ご主人様」
「有難う。人が多いようだからなるべく俺から離れないでくれ」
「解りました」
　煌めくシャイネンナハトの街並みは戦いの後の静けさのようだ。
　こんな穏やかな時間が長くは続かないことを知っていながらも、出来る限り、を祈ってしまう。
「リュティスは、イルミネーションをどう感じた？」
「……綺麗だと。美しいと、感じます。星のように遠くにあるわけではないのに、……こんなにも眩いのですから」
「星か。星は夜空に輝いているが……確かに、イルミネーションだと側にあるから、そう感じるのだろうな。リュティスが気に入ったのなら、領にも飾ってみようか」
「ご主人さまのお望みであれば、」
「……そうだな。確かにこれは俺の望みでもある。ポメ太郎も、領民も皆きっと喜んでくれるだろう」
「はい。私もそうかと」
「だがこれは、リュティスが気に入った様子だから提案してみたんだ。どうだろう？」
「……名案、かと。存じます」
「はは、そうか。それは何よりだ」
　一番の従者が。頼もしい存在である彼女が興味を示したものであるのならば、領に持ち帰ってみても良いだろう。
　それに。彼女の顔が綻ぶのは、何度だって見たいと思うから。

　※SS担当者：染