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裏路地の狼’s
裏路地の狼’s
イラストSS
金属がコンクリートを削る音を聞いた事があるだろうか。
では、大きな脂肪肉が骨ごと押し切られる音を聞いた事があるだろうか。
二人組の乙女が大きな得物を嬉々として引き摺る姿を、見た事あるだろうか。
暗然たる裏路地に乙女の鼻歌が響く。
それは不揃いな足音と合わさって不協和音を奏でる。
追い詰められた男はひゅ、と自らの呼吸が乱れる音を確かに聞いた。
もうどれくらいの血を垂れ流したのか、怖くて頭が回らない。
この可憐とも言える乙女達になぶられて命果てるのか。
それとも失血で痛みは少なく尽きていくのか。
男はなんとなく目の前の乙女達になぶられるのは嫌だなと思ってしまった。
「それじゃ、そろそろ終わりにしよっか」
「最期にイイ声、聞かせてくださいっす」
男は形容したくもない醜い音が自身の身体から出てるなんて最期まで信じられなかった。
真っ赤な衣装のサンタクロース、ひと仕事を終えて歌いながら帰ってゆく。
楽しいねランランラン、楽しいねランランラン。
聞かせてよ悲鳴をランランラン、ランランラン、ランランラン。
「次はそっちへ行くっすから」「待ってて!」
※SS担当者:桜蝶京嵐