イラスト詳細
混沌礼装
混沌礼装
イラストSS
生まれと育ちから、人の心の機微にはどうあっても敏感にならざるを得なかった。
人がどうヴァイオレットを見ているのか、ヴァイオレットには手に取るようにわかる。
妖しく、黄昏のような昏さの中に美しさを秘めたようなヴァイオレットの容姿は、いやでも注目を集めてしまう。
目立つことは本意ではないのだが……。
少し揶揄ってあげましょうか、と気まぐれに振舞うこともあれば、同時に、それに嫌悪を覚えてもいる自分もいた。
(だから、ワタクシは装うことには慣れている)
……ごく普通の恰好であれば、の話である。
「えっ……と、さ、さすがにこれは……」
露出の多い格好にはまだ馴染みがある。けれども、このような清楚なものを前にするとどう反応していいか分からなくなる。
白いビキニ……身体にぴたりと沿っているが、豊満な肢体を持つヴァイオレットには多少窮屈にも感じられる。可愛らしくあしらわれたピンクのリボンは、自分からは縁遠いもののように思えた。
客観的に評すれば、間違いようもなく『似合って』しまっているのだが、ヴァイオレットにはその確証がない。……どうだろうかとおずおずとこちらを伺うような視線も相まって、似合っている。途方もなく、似合ってしまっていた。
※SS担当者:布川