イラストSS

　ごちそう、という言葉がぴったりだった。
　シキ・ナイトアッシュの目の前に広がるのはローストチキンにミックスサラダ。さっぱりとした味付けのソースがかかったポークソテーには目玉焼きがのっているが、これがびっくりするほどの円形だった。定規で測って成形したのではとおもうほど黄身の位置が中心にある。
　手前には素朴なつくりのパンケーキ。のせられているのはバターかとおもいきやカスタードクリームである。
　ちらりと見ると、クロバ・フユツキはやりとげたという顔で否定を拭っている。
　サンタクロースめいた帽子とエプロンをつけた姿にはサンタコックという言葉が似合いそうだ。
「お師匠さま」
　シキがキッと視線を向けると、クロバはどこか優しく、そして爽やかな笑みで頷いた。

　シャイネンナハトだからと披露されたのはクロバのご馳走フルコース。
　自分ばかりとちょっぴり恐縮するシキに、クロバはシャンパンをあけて見せた。
「さあ、食べてくれ。感想を聞きたい」
「では……」
　パンケーキをまずはフォークとナイフできりわけ、ぱくりと頬張る。
　口の中でじんわりと溶けるような食感と共に、カスタードの甘さが広がる。全身の力がくたぁっと抜けるような、優しくも楽しい甘さだ。
　感想など、決まっている。
「おいひいでふ、おひひょうはま！」

　担当GM：黒筆墨汁