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シキ・ナイトアッシュのkzgr_によるおまけイラスト
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「よくぞ参られましたね。シキさま」
「おお、シキ。しゃいねんなはと、なのであろう? 食事を伴に楽しむ日だと聞いている」
穏やかに微笑んだ瑞神。黄龍は彼女を膝に抱えながらシキを出迎えた。
神威神楽の神霊である二柱はシャイネンナハトには詳しくない。特に瑞神は霞帝の誕生日と云うイメージしか抱いては居ないだろう。
「ふふ、こんばんは。瑞。黄龍。一緒に食事をしてお話をしよう」
「うむ。今宵のためにセイメイに炬燵を準備させたぞ。はよう、はよう」
「冒険の話を聞かせてくださるのですか?」
黄龍の膝から降りて、二人の間へとシキを誘うように瑞神はとん、とん、と座布団を叩く。
食事を伴に食べて、寄り添って思い出話をする。シキにとってはその時間が何よりも幸せだった。
瑞神と黄龍はシキにとっては止まり木のようなものだ。過酷な毎日を送る中でも、こうして安らぎをくれる。
愛おしい時間を共に過ごすよう、シキは目を細めて笑った。
毎日の冒険の話しは山のようにあった。神威神楽から出る事の出来ない神霊の二柱には物珍しい事に聞こえるだろうか。海向こうには素晴らしい景色が広がっていると、それを伝聞だけで伝えるのは何処か勿体ないようにさえ感じられる。
「黄龍は誰かの召喚があれば外に出れるんでしょう?」
「うむ」
「瑞は?」
「瑞は難しいかのう。守り神であり、黄泉津に深く紐付いておる」
のう、と見下ろした黄龍はシキに擦り寄った瑞神に気付いて「おや」と呟いた。
シキも瑞神の変化に気付く。ケーキを食べ終えてから少しばかり彼女が無言だったからだ。
「……ねえ、黄龍」
「ん?」
「瑞、寝ちゃったね」
気付けば幼子の姿をしている瑞神は眠りの淵に誘われていた。
疲れていたのだろうと髪を梳いた黄龍はシキを見遣ってから「眠らぬのか」と問うた。
「勿体ないよ」
首を振りながらも眠たげなシキの腹をぽんぽんと叩きながら囁いた。黄龍にとってはシキも可愛い子供の様に見えて堪らないのだ。
永きを生きた神霊にとって幼子のような愛おしい友。その休息の場となれるならばどれ程に喜ばしいことか。
「安心なさい、シキ。明日起きて、もう少し話そう。吾も瑞も伴に居ろうよ。
主の心安らぐ様が吾にとっては何より嬉しいからの、眠れ、可愛い子よ」
*SS担当:夏あかね