イラストSS

　奇跡の夜を迎えるために、素敵なものをいっぱい飾ろう。
　きらきら輝くオーナメントに、ふわふわまっしろガーランド。
「わぷっ」
「おや、口に当たってしまったかい？」
　背中の方から飄々とした声が降り、アルヴァは座ったまま耳を垂らした。
「おいシキ、クリスマスツリーはあっちだぜ？」
「いいのいいの、君を飾りたいんだもん！」
　そう、シキが飾り付けているのはクリスマスツリーではなく、目の前のアルヴァそのものだった。名付けて"アルヴァクリスマスツリー大作戦"！！
「ところで、君は知ってるかい？　どうしてシャイネンナハトにはツリーを飾るのか」
　投げかけられた問いに、アルヴァは「いや」と首を振った。行事だからと漠然と飾っていたかもしれない。記憶の中からそれらしいものを掘り出そうと考え込むアルヴァの頭に、ふわっとクリスマスリースが王冠代わりに降ってくる。
「クリスマスツリーには"永遠の象徴"という意味があるらしい。ローレットにいた旅人からの受け売りで、世界によって諸説あるだろうけどね」
「永遠……無病息災みたいなものか？」
　ヒントの様な言葉を貰えど、結局のところシキの真意をアルヴァは汲み取りきれなかった。それでも分かった事がひとつ。
(少なくとも、元気でいて欲しいってくらいには信頼されてる……って事だよな)


　※SS担当者：芳董