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イラスト詳細

白薊 小夜の黒猫による2人ピンナップクリスマス2021

作者 黒猫
人物 白薊 小夜
フィーネ・ヴィユノーク・シュネーブラウ
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2021(→おまけイラスト)(サイズアップ)
納品日 2021年12月24日

7  

イラストSS

 雪が降る。
 しんしん、しんしん。
 静かに。静かに。
 白い雪が、防音壁のように、雑踏をかき消す。
 真っ白な世界、薄いヴェールのそれを透かす、街の明かり。キラキラとした、オレンジ色の光と、白い雪のコントラスト。
 触れ合うぬくもり、衣越しに感じる、体温。ぽつ、と白い手に、雪が乗った。瞬く間に溶けていく、水になる。流れていく。涙のように。だとしたら、何の涙だろうか。喜び。哀しみ。驚き。どれだろう、どれだろう。わからないけれど、あなたの手の甲に、白雪は降って、降って、とけていく。
 二人を包むように、和傘が開いた。ばぁ、と音を当てて、二人を雑踏から隠すように。雪が隠す。和傘が隠す。雑踏から、ヒトから、世界から、今この時の二人だけを、切り離して見えなくする。
 ふ、と――唇が触れ合った。
 最初は冷たく、雪の味。
 次に暖かく、あなたの味。
 触れ合う唇が、衣越しのそれとは違う、直接触れた温かさを教えてくれる。
 あなたと、わたし。
 わたしと、あなた。
 触れあって、溶け合って、あの雪が、水になったみたいにとけて、とけて、一つになったみたいに。
 ふ、と離れる。唇が、からだが。ほう、と息を吐くと、真っ白なそれが、二人の間に煙る。
 そうして――あなたは笑った。和傘の下、二人だけの、小さな世界で。

*SS担当:洗井落雲

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