イラストSS

　恋とはどんなものか――とは、地球世界の音楽家が作ったクラシックらしいですけれど。
　しかして、実際の所、恋とは、恋心とはどんなものなのでしょう？
　わからないし、まだ答えは出ない。
　なんともなんとも、いいがたい。
　シャイネンナハトの夜、二人だけのディナー。暖かい暖炉の火が部屋を暖めて、頬もわずかに、赤く照らされているような気がします。
　この赤は、恋の赤か。いやいや、ただの生理現象――暖炉の熱で火照っているだけ。
　それにあなたは気づいているのか。ただいつものように笑顔を浮かべながら、優しい談笑を続けています。
「すまない、少しはしゃぎすぎたかな」
　あなたはそう言って苦笑して、グラスに口をつけます。
「食餌の邪魔になってしまったかな。食べて欲しい。特別なものだ」
「それは――シャイネンナハトだから、でしょうか。それとも」
　それは――ある意味で烏滸がましい勘違いだったかもしれないけれど。
　私との食事であったから、特別なものなのだろうか、と。
「そうだな。両方だ」
　そういって、あなたは笑うのです。
　恋とはどんなものなのか。まだわからない。
　すぐにはきっと、答えも出ない。
　なので今はこのまま……暖炉と、たぶんあなたの心の温かさに、頬を少しだけ、熱くするのです。

＊SS担当：洗井落雲