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イラスト詳細

アーリア・スピリッツのあさぎあきらによるおまけイラスト

作者 あさぎあきら
人物 アーリア・スピリッツ
燈堂 廻
燈堂 暁月
イラスト種別 おまけイラスト(→元発注イラスト
登録されているアルバム
納品日 2021年12月24日

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イラストSS

 畳の香りに混ざってほんのりと漂うラストノートのムスクにはもう鼻が慣れてしまったけれど。
 代わりに美味しそうなだし巻き卵の美味しそうな匂いが鼻腔を擽る。
 希望ヶ浜は燈堂家の和リビングで、アーリアは暁月と廻の三人で炬燵に入っていた。

「ふふ、このだし巻き卵美味しいわね」
「それは白銀が作ったやつだな。私もそれが好きでね」
 アーリアが頬張っただし巻き卵は昆布と椎茸の味が香る。
「こっちの佃煮も美味しいですよ」
「まあまあ。こういうのって作るの大変なんじゃないの?」
 小魚の佃煮を食みながら、アーリアは廻へと視線を向けた。
「結構時間が掛かるかも。白銀さんありがとうございます!」
 にこにこと笑みを浮かべる廻は既に酔いが回っているようで、テンションが高い。
「こういうのすぐ出てくるって事は毎日呑んでるのね?」
「まあ、私も廻もお酒が好きだから。そういうアーリア君も、だろ?」
 目を瞑ってみせる暁月に、アーリアは「まあね」と応える。

 酒に溺れるだけの時間を過ごした事もあるけれど。
 それでも、アーリアは共に杯を交し言葉を投げ合う時間が好きだった。
 友人となら尚更のこと。

「廻、そろそろストップだよ」
「????」
 暁月の言葉に不思議そうな顔をする廻。何の事だろうと首を傾げる廻の顔は既に真っ赤だ。
「そんなよく分からないみたいな顔をしても駄目」
「これは僕の日本酒ですよ??」
 一升瓶を抱え込んだ廻は嫌々をするように首を振った。
「それ以上呑んだら、寝ちゃうだろう? 炬燵で寝たら風邪を引いてしまうよ」
「やーだー! 呑むー!」
 ぷいっと瓶を抱えて頬を膨らませる廻と、溜息を吐く暁月が可笑しくて。
 アーリアは顔を綻ばせる。
「ふふ、暁月さん、お父さんみたいね」
「あーまあ、実際廻は私の養子だからね。本当にいつまで経っても手の掛かる子供だよ」
 お酒を抱えたままうつらうつらし出した廻に眉を下げる暁月。

「でも、こうして甘えてくれるのが嬉しかったりするんでしょ?」
「……もう、アーリア君ったら恥ずかしいよ。そういうのは」
 甘えて甘えられて。頼ってくれるのが嬉しいという感情は大切な人だからこそ抱くもの。
「えー暁月さん、そうなんえすかー?」
 断片的な情報を拾ってふわふわと身体を揺らす廻は、こてりと意識を落した。
「あらあら。じゃあここからは大人の時間ね……」

 数時間後、テーブルの上には呑み散らかした徳利が転がり。
 アーリアの陽気な笑い声がリビングに響いていた。

*SS担当:もみじ

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