イラスト詳細
先輩、じっとしてて。
先輩、じっとしてて。
イラストSS
●Fruit cannot drop, Through this thick air.
女が上に跨がるのを見て、人は其れを愚かだと嘲るだろうか。
衣摺れ、そして程好く沈んではギィ、と軋むベッド。
酒で投げやりに潤んだ眸に、いい加減に紅潮する頬。
如何にも嘘臭い白いベビードールがシーツの上を滑って、解けた髪がこそばゆい。
剥き出しのデコルテに叩いたラメに何時もより濃い色のリップ。
嗚呼、ねえ。こんな現在を此の後に及んで『はしたない』と気取った手であたしの鼻を摘むのだろうか。
良いンすよ、先輩は其の儘じっとしているだけで――
あたしが好きにして、勝手に善がりますから――
何なら、目を閉じて居れば全ては良い様にするっすから――
――嘘だ、本当の所を言えば触れて欲しいのだ、
――見てるだけなんて嫌なのに。
――此の厭に重く纏わり付く夜の空気の中を、果物【プライド】は堕ちる事が叶わない。
醜くて、可愛気の無いあたしを禊ぐ様にチラつく雪が無性に腹が立つのだ。
冷え切ったあたしと先輩は何処までも平行線上で、態度も温度も冷たくて。
孕んだ熱は触れ合うと生温くなって、解かせない事を識る。
――こんなに可愛いのに何でっすかね?
※SS担当者:しらね葵