イラストSS

●想いを込めて、キミ/貴方へ
「星穹殿、準備はいいかな」
「はい、ヴェルグリーズ様」
　星穹にとっては初めてのシャイネンナハト。それを大切に想うヴェルグリーズと過ごせるのならば、尚更特別な想い出になる。
　用意したプレゼントと共に音に乗せるのは、日頃からの感謝。
　何度も同じ戦場を共に駆け抜けた。何度も共に出掛けた。キミ/貴方が日々を彩ってくれたことが、ただ、嬉しいから。
「お気に召して頂けたでしょうか……」
「うん、勿論。星穹殿も似合ってる。それに、名前……」
「……これは、ヒイズルでの約束を果たしただけ、ですから」
　聖夜の魔法は、素直になれない星穹にだって、励ましのような温かい魔法がかかるから。だから勇気を出して伝えよう。

　――いつもありがとう。

　飾り気のない言葉かもしれない。けれどきっとその価値は、お互いが誰よりもよく理解しているから。
「ヴェルグリーズ様、この後はどういたしましょう……」
「あれ、そのまま呼び捨てにするんじゃないの？」
「えっ？！！」
　呼び名の変化もシャイネンナハトの贈り物がいい、なんて笑ったヴェルグリーズ。微笑ましい二人の聖夜を、紅茶だけが見守っていた。


　※：SS担当者：染