イラストSS

●I Hear Your Singing.

　『あなただけのオーナメント作り』――そんなチラシの見出しに心惹かれ、シャイネンナハトの為に街へ繰り出したふたりの昼食後は互いをイメージした工作のひと時。

　片や、隣人を鳥に喩えた。聖夜に相応しい赤いポインセチアを咥え大きく翼を広げ飛ぶ姿。其れは願いを聞き届ける花の様であり、何かを齎す鳥の様であると。

　片や、隣人の馨りと聲を想って花を込め鈴を括った。英雄――転じて天使。或は誰よりも早く走る駿馬、そして可憐に咲く花、何者にでも成れる存在であると。

「『柔和』の茉莉花、『無垢』の赤い薔薇、『優美』のラベンダー……と」
「ふふ、何だか照れちゃうなあ。あっ、私はね！
　昔は手の届かない青い鳥のようにも思えたけれど、今はそうじゃない大事な友だちだー！　って！
　欲張りな感じになっちゃって」
「ぼくも随分と欲張ったのですけれど……欲張りなのは、アレクシアさまもでしたか。
　そんな、そんなお言葉を頂いては樹に留めるのが勿体無くなってしまう」
「『お持ち帰りもOK』だって！　ね、未散君お腹空かない？　去年のケーキ屋さんが近くだよ！」
「おやつ時ですね。あれは美味でした――では、どうぞお手を」
「うん！」


　※SS担当者：しらね葵