イラスト詳細
ベネディクト=レベンディス=マナガルムの佐東敏生による2人ピンナップクリスマス2021
イラストSS
●
夜のとばりが降ろされると、イルミネーションが点灯し、雪の世界は温かくも華やかな光に包まれる。
「手を繋がないか」
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は少しだけ振り返ると、半歩遅れて横を歩くリュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)の手を取った。
ベネディクトの体温が手袋を通して染み渡り、リュティスの身体中に広がっていく。上から見える、優しい眼差しに胸が高鳴る。とたん、身を切るような寒さが気にならなくなった。
「寒いだろ。もっと傍においで」
ご主人様のなにげない愛情表現にまだまだ戸惑いを感じているリュティスは、次の瞬間にはもう、はっと我に返って、繋いでいる手を離そうとした。
「あ……」
その時、何か冷たいものが頬に当たる感触がして、リュティスは空を見上げた。
ベネディクトも顔をあげる。
「雪だ……」
はらはらと散るように天から落ちてくるのは、白く小さな、花びらのような雪。それがイルミネーションの光を受けて、色づきながら二人の上に降り注ぐ。
気がつけばベネディクトの大きな手を握りしめていた。
二人が吐く白い息は、空中でもつれて消えて行く。
「あ、あの……」
「ずっと、こうしたかった」
ベネディクトの落ち着いた口調と優しい眼差し、そして藻けるような甘い微笑み。
これが自分にだけ向けられたものとわかっているからこそ、ご主人様の心からの愛情を感じてどうしようもないほどの切なさに涙がこみ上げる。
幸せなのに哀しい。嬉しいのに胸が痛い。
リュティスは複雑な幸福感に包まれながら、雪降る道をベネディクトとともに歩く。
二人の距離はいつもよりも近くなり、互いの温もりを確かめあった。
※SS担当者:そうすけ