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イラスト詳細

クソ映画観賞会

作者 おしかつ
人物 咲花・百合子
セレマ オード クロウリー
咲々宮 幻介
イラスト種別 3人ピンナップクリスマス2021(サイズアップ)
納品日 2021年12月24日

5  

イラストSS

「誘拐の練習なら余所でやれクソが!」
 憤怒の形相で表情を歪める圧倒的美少年、セレマ オード クロウリー。セレマの両手両足はがっちりと椅子に括り付けられ、到底身動きが取れない。そのセレマの自由を無理矢理封じたのは咲々宮 幻介で、首謀者は咲花・百合子であった。
 セレマの目の前にはテレビの液晶画面、その両脇に仁王立ちになる百合子と幻介の存在があった。
 光を反射してアホらしいほどにキラキラと輝くクリスマスデザインのパーティー用三角帽子をかぶる百合子は、真剣な眼差しである映画のDVDを手にしていた。
「こんなクソみたいな設定、展開を生み出したB級映画制作会社のために、私の貴重な15分を浪費したことは実に残念だ……」
 百合子はおもむろにDVDデッキの電源を入れながら、セレマを拉致した理由を語る。
「残りのおよそ90分は誰かを生贄にゲフンゲf――誰かと共有したいと思うのはごく自然なことだろう?」
 幻介は百合子とそろって紙吹雪舞うクラッカーを打ち鳴らし、「ようこそ! サメ映画観賞会へ!」とパーティーの幕開けを宣言するのであった。
「今すぐボクを解放して、素直に土下座するなら考えてやらないこともないが――」
 セレマは殺意に満ちた目付きでその一言を2人に向けたが、セレマに拒否権などなかった。
 映画には付き物のポップコーンを、百合子は当然のようにセレマの膝の上に置き、幻介はクリスマス使用の三角帽子や3Dメガネを身動きの取れないセレマに身につけさせる。そんな幻介を睨みつけるセレマの視線に対し、「遠慮せずに楽しめよ」と幻介はいい笑顔で親指を立てるのだった。
「黙れ誘拐犯!!!!」
 セレマがどれだけ声を荒げても、不本意な観賞会は始まってしまう。
 果たして演劇鑑賞という高尚な趣味を持つ美少年セレマは耐えられるのだろうか――海中に不法投棄された芝刈り機にサメの怨霊が憑りつき、なんやかんやで町の人たちを襲い始めるというとんでもないクソ設定映画を鑑賞することに。
 映画の登場人物たちがグダグダなサメ芝刈り機退治を展開する様を爆笑しながら眺める百合子は、
「ヒロインに片思いしているこの陽キャオラオラ野郎は間違いなく死ぬな!」
 辟易した様子のセレマを尻目に、百合子は嬉々として映画内の犠牲者を予想する。
 両脇の百合子と幻介に挟まれたセレマは台座代わりにされ、ポップコーンやドリンク置き場と化していた。
 罰ゲームのように付き合わされるセレマに対し、「ねぇ、面白い? ねぇ、面白い?」と肩を組んではウザ絡みを繰り返す幻介は、更にセレマの苛立ちを募らる。
 今にも2人分の飲み物をその手からぶちまけそうなセレマにはお構いなしに、3人で過ごすシャイネンナハトの夜は更けていった。


 ※SS担当者:夏雨

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