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レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタインのしもふりによる2人ピンナップクリスマス2021
レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタインのしもふりによる2人ピンナップクリスマス2021
イラストSS
●理解不能
シュペル・M・ウィリーは万能の天才である。
否、人智の理解する天才等という言葉で彼を表現する事は不可能だ。彼の在り様はその全てが神域に通じている。彼の人生は元あった世界では当然のように。そして、今現在混沌肯定を以てしても完全に規格内に収める事の難しい、文字通りの例外であった。
「……フン」
塔の最上階で。
丁寧に封印の押された手紙を一瞥したシュペルは何とも言えない表情で鼻を鳴らしていた。
シュペルは全てを知っていて、全てを理解している。
基本的には。原則的には。
しかし――彼は今、『本当に理解が出来ていない』のだ。
(……懐かれるような真似をした覚えはないがな)
何度、何回冷淡にあしらっても子犬のような顔をしてついてくる、そんなイメージ。シュペルは自身も含め、旅人という連中は――取り分けローレットに属する連中は『変わり者』ばかりだと知っている心算だったが、レイチェルという女の奇妙さはその中でも特筆に値するように思われていた。
――先生!
――シュペル先生!
――弟子入りは駄目かぁ。でも諦めないからな!?
「……」
手元の手紙の中にはきっと頭が痛くなるような文言が並んでいるに違いない。そう思うとシュペルは苦笑を禁じ得なかった。
(どいつもこいつも)
どうして塔を登るのだろう?
自身はこんなにも誰かを寄せ付ける気はないのに。
シュペル自身が作り出したミステリィは悲しい程に、神で天才の彼の期待を裏切っていた。
――それは難問では無く、余りにも簡単過ぎて。
挿絵情報
- 公認設定『憧れの『先生』』