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こ、こんぐらいへっちゃらだぜ……!
イラストSS
空からは真っ白な雪が舞い踊り、リースが飾り付けられた夜の街。
リア、シキ、サンディの三人は、そんな夜の街角を、隣り合う様に歩く。
その手には、沢山の食材が詰め込まれ、蓋が空いたままになったバッグが一つと、蓋が閉じられる位の食材が詰まったバックが一つ……そして、手提げのショッピングバッグが一つ。
「ええっと……サンディ、無理しないでよ?」
リアはサンディへ、心配そうに問い掛ける。
「だ、大丈夫大丈夫……」
と、サンディは言いつつも……その手に持つのは、蓋が空いたままのバッグ。
それほどに詰め込まれた食材の重さはかなりの物。
正直怪盗の身の彼にとっては、荷が重いし……額に汗を浮かべている様な状態である。
そんなサンディを、揶揄う様にシキは。
「ふぅ~ん、頑張るねぇ、少年。それじゃあ私のも持って貰えるかなぁ? 女の子に重い物持たせるなんて、させないわよねぇ?」
くすくすと、いたずらに笑うシキ。
「あ、いや……も、持てと言われれば頑張るけど……」
額に汗を浮かべるサンディ、シキは。
「ふふふ。大丈夫大丈夫。まぁ、でもこれだけの食材が必要なんだねぇ、リア」
とリアに話を振る。
それにリアはこくり、と頷いて。
「ええ……多くの人が来て頂けますから……おもてなしの料理も、沢山作らないといけません」
来てくれる人達の顔を思い浮かべると、自然と嬉しくなってくる。
「でも……本当にシキさん、サンディさんに手伝って貰えて、本当に助かります……」
自分が持って居るのは、二人の荷物の半分以下の重さ……本当に申し訳なさそうにする。
「本当、気にしないでくれていいって! だってクリスマスは、修道院にとっての一大イベントだもんな!」
そう、今日はクリスマスの日。
リアはクォーツ修道院のシスターであり、修道院のクリスマスパーティーの準備の為に、沢山の食材を買い込み……いまはその帰り道である。
「でも、クリスマスパーティーかぁ……いいよな。子供達も、沢山の料理を目の当たりにしたら、楽しんでくれるよな?」
「ええ……勿論です。お二人も、クリスマスパーティー、参加してくれますよね?」
「勿論だよねぇ……あ、でもサンディは用事無かったっけ?」
「無いって、絶対に無いって!! 今日はこの為に万難排してきたんだから! という訳で、リアさん、宜しく頼むな!」
「ええ」
くすり、と微笑むリア。
そして三人は、小雪舞うクォーツ修道院への道を、少し駆け足で急ぐのであった。
*SS担当者:緋月燕GM