イラストSS

　シャイネンナハトのプレゼントは、その冬を占う大事な品だ。
　完璧とまではいかずとも、失敗は許されない。

　そう。だからこれは必要な儀式なのだ。
　あの子の笑顔のためなら、ちょっとやそっとの無茶くらい――。

「次はあの店！」
「ええ、まだ買うのかよ！？」
　新たな店を示され、シラスは表情を引きつらせた。すでに両腕にはショッピングバッグがさがり、正面に大きな荷物を抱えている。ただのウインドウショッピングで済むならいいものの、この爆買いの主――アーリアは、欲しい物をキッチリ買う派だ。
「乙女の冬支度は大変なのよぉ？」
「そりゃ、この荷物の量で十分わかったよ」
　ナハト商戦で街は華やぎ、活気に満ち溢れている。あれもこれもと勧める商人達の弁舌がこれまた巧いこと！
　おかげでシラスはすっかり何を買えばいいか迷ってしまい、たまたま出くわしたアーリアに事情を見抜かれてしまったのだった。
「ほら、まだまだ行くわよぉ早く！」
「その前に休憩――」
　言いかけて、間近に寄ったアーリアの顔にドキリとするシラス。
「女の子の喜ぶ物、知りたいんでしょう？」
「～～ッ！」
……ああ、もう。叶わないなあ。
「行きますとも！ 代わりに約束だからな！」


　＊SS担当者：芳董NM