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べろんべろんのサンタクロース
イラストSS
「輝かんばかりのこのヴァアエエエエエエエエエエ゛!!」
「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
輝かんばかりのこの夜に、シラスくんちが虹色にスパーキングした思い出を語ろう。
その日、街はメリメリのクリックリであった。カップルたちはイルミネーションバリバリの街でイチャコラしーのケーキ屋は血眼になって大量生産したケーキを売りさばくべく鐘をうちならしーの独身男たちは半裸で正拳突きしながら川沿いを突き進みーので、街を歩くシラス(今夜部屋がスパーキングする運命)は毎年恒例の光景にどこか慣れた様子であった。
(スラムから出た俺が、この光景になれるなんて……ね)
どこかシニカルに笑い、シャンメリーの入った紙袋を持つ手を見る。
死にたくなくて生きて、飢えたくなくて盗んで、逃げるように手を悪しき泥に染めた。
スリの手際は一級品になり、こっそり人の家に忍び込んで財布を盗んだことだって……。
「そんな俺も、少しは変わったのかな……」
シラス(今夜部屋がスパーキングする運命)は自分の手を見つめ、そして目を細めた。
「俺も、今夜は普通の子供みたいにしてみるか。ベッドに靴下を吊したりして、さ」
で、その夜。
「輝かんばかりのこのヴァアエエエエエエエエエエ゛!!」
「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
シラスくん家にクロスアームで(窓から)突入してきたヴァレーリヤ。突然のことに怯えるシラスを余所に手にした瓶(シャンメリー)をラッパ飲みしそしてウッウッとけいれんしたかと思えばベッドに吊した靴下を手に取り虹色にスパーキングしたのだった。
「フウ……」
スンとした顔(顔のパーツがやたら中央によった顔)になったヴァレーリヤが、靴下をスッとシラスに差し出した。
「輝かんばかりのこの夜に、ですわ☆」
「……えぇ」
どうやら今年も、普通の子供みたいにはなれなかったらしい。
担当GM:黒筆墨汁