イラストSS

季節はシャイネンナハトも間近。街は色を変え、鉄帝の街並みを白く染め上げている。
雪の残る道に残るのは寄り添う二つの足跡。
しっかりと繋いだ手は暖かく熱を伝え、この夜を待ちわびる気持ちは声に混ざっていて。

「ふふっ、ヴァリューシャは買い忘れはないかい？」
「ええ、これだけ買えばバッチリでございますわー！」

楽し気に話す彼女たちの手には沢山の食材を入れた袋が下げられていた。
野菜に果物、それからお酒。特別な日を過ごすには十分すぎる程だろう。
身に染みる寒さを少しでも和らげるように、マリアはヴァリューシャの親指を軽く擦る。

「冬は長いよ？なんて、君の方が良く知っているよね！」

この冬という季節も互いが居れば特別なのだ。
ヴァリューシャもマリアに応えるようにそっと手を握り返す。
自然と声が弾むのは、きっとシャイネンナハトだからという事だけに限らない。

「今日のご飯、腕によりをかけて作るから楽しみにしていて頂戴ねっ！」

重なった視線に自然と頬が緩み、笑い合う。
この道の先に大切な人との幸せを描くように、舞い散る雪さえ暖かく二人の帰路をを見送った。


　＊SS担当者：月見里あとりNM