PandoraPartyProject

イラスト詳細

あんなに速かったのに……

作者 佐東敏生
人物 ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ
仙狸厄狩 汰磨羈
イラスト種別 おまけイラスト(→元発注イラスト
納品日 2020年12月24日

3  

イラストSS

どうしてこうなった。
恐らく後にも先にもここまでの状況を経験する事はないだろう。いやしたくない。
元々寒さに弱い汰磨羈は半泣きで自分の体をぎゅっと抱き締めかたかた震える事しか出来ず、
方やヴァレーリヤといえば虚空を見つめる瞳から光が消えた。

この悲劇の幕開けはたった数時間前に遡る…
なんてことはない。二人はサンタさんだったのである。
シャイネンナハトの夜だ、子供たちの為にプレゼントを配り歩くのがサンタクロースの役目。
盛大な傾斜を数匹のトナカイを連れてヒヤッハーとばかりに下っていただけなのだ。
しかし、

「なんだか視界が悪くなってきたような……」
「もしかして……吹雪!?」

ここまでハイライト。

明るくなって現状を確認すると、進路を見失ったソリは見るも無残な木っ端微塵。
先導役のトナカイときたらそらもう元気に逃げ回っている。
一先ずの寒さを凌ぐために鎌倉は作ったが、それがあっても寒いもんは寒い。
最早二人とも、壊れたソリを視界に入れながら譫言のようにぼやくだけで。

「……救援……来ませんわね……」
「どちゃくそ寒い……救援はよ……」

雪山に描かれる「SOS」の文字。
それは子供たちに配るはずのお菓子たちで作られていた……


 *SS担当者:月見里あとりNM

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