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美城・誠二の奏多による2人ピンナップクリスマス2020(横)
美城・誠二の奏多による2人ピンナップクリスマス2020(横)
イラストSS
粉雪舞う天義の街はいつにも増して賑わっていた。
オーナメントをたくさんつけたツリー。積み上げたプレゼントBOX。
赤と緑、白と金の色彩が、心を浮き立たせる。
可愛いパッケージの焼き菓子。
シャイネン・ナハトにちなんだ飾り物。
その1つ1つをシュテルンは指さして尋ねる。
「あれ、なに?」
なんでも珍しがるのはシュテルンの性格もあるだろうけれど、なにより彼女は長い間なにも見たことがなかったのだ。
5歳のときから、ただひたすら歌だけに向かい合い、外の世界を見られなかった。だから、何を見ても物珍しい。
誠二はそんなシュテルンの頭に手をやり、優しく撫でた。
「ん?」
シュテルンは誠二を見上げ、視線が合うとにっこりと笑う。
ひとかけらの邪気もない笑顔が、哀しくなるほどに愛しい。
「ね、あれ、きれい」
シュテルンは誠二の腕に腕を絡めると、白を基調にした大きなツリーを指した。目をきらきらさせているシュテルンといると、これまでなんとなく通り過ぎていたものが、新鮮に感じられる。
「近くに行ってみようか」
「うん!」
どこにでも行こう。なんでも見せよう。
世界はこんなにも広くて、見るものに溢れているのだから――。
*SS担当者:月舘ゆき乃GM