イラストSS

　希望ヶ浜、とあるカラオケボックスにて。
　放課後に集まった女子生徒？　達のテンションは最初からクライマックスも斯く様に盛り上がっていた。
「いえーい！　盛り上がってるかー！！」
「いえーい！」
　マイクを握り締めた秋奈がオープニングからエンジンをフルスロットル全開にして観客を煽ると、元気よくレスポンスを送るフェスタとリディア。
　早速フードメニューを開いて、限定メニューに目移りしながらフロントにオーダーを入れる。
　数曲を歌い終わった頃、扉がノックされ店員が運んできたプレートとグラスを手早く並べて退出したのを見計らって、運ばれてきた品々に目を輝かせる。
「わー！　ハニトークリスマススペシャル、写真で見た時よりも全然美味しそう－」
「見てください！　ソフトクリームはクリスマスツリーですし、ハニトーはプレゼントボックスですね。ハチミツがリボンのように絶妙に垂れて……美味しそう」
「雪だるまはバニラアイスだな、溶ける前にハニトーと合わせて食べると美味しい」
　ミーナは早速雪だるまをスプーンで掬うと、遠路無く口に運んでいた。
「あ、ミーナちゃんそれ以上はちょっと待って。写真撮りたいんだ」
　そう言うと焔は言うが早いかaPhoneのカメラを起動させ、映えな角度を探してテーブルを回り込みつつ微調整してシャッターを切る。
　そんな努力の甲斐あってか、ソフトクリームが蕩ける前に完璧な姿を収めることに成功した。
「ちょっとー！　秋奈がこれから歌うんだからハニトーから離れてちょっとは聞けなのよね！」
「はーい」
　目を輝かせたフェスタは、適当に相槌を打つ代わりにイントロのリズムに合わせて両手に握り締めたマラカスを振った。シャカシャカを通り越してジャカジャカ鳴っている。
「秋奈ちゃんのそれは……レンコン？　それにその緑色って」
「美味しいよ？」
　もしやゲテモノ？　という視線を受けた秋奈はけろりとした表情でそう答えた。
　彼女の味覚が心配になりながらも、目の前のハニトーに集中した。
「はいはい！　秋奈ちゃんが歌い終わったら、次はボクが歌う番ね！　次の曲入れる！」
　元気よく焔が手を上げると、ミーナは、ハニトークリスマススペシャルから視線を離さずに端末を差しだした。
「ありがとうー！」
　黙々とハニトーを口に運ぶミーナ。城壁の一角を崩し終わった皿の上では、蕩けたソフトクリームとトースト、ハチミツが絡み合ている。
「センキュー！」
　歌い終わった秋奈がマイク片手にポーズを決めると、続いて焔の曲が流れ始めた。
　途切れることなくスピーカーから曲は流れ続ける。
　そして彼女たちの笑い声もまた、途切れることはなかった。



　＊SS担当者：水平彼方GM