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シラスのロロによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
シラスのロロによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
イラストSS
コンクリートを打ち放した室内。
硝煙のにおいには、もう慣れた。
照明は抑えられている。明るくもなく、暗くもない。
ひとえに物体の肉眼による認識に焦点を絞ったものだ。
シラスはグリップを握り、手を添える。
トリガーに指をかけ――イヤーマフの向こうで乾いた破裂音が燻る。
銃のパワーが上がった事でリコイルにマズルが跳ね、ターゲットの中心を僅かに外す。
僅かな口径の違いでこれだ。
先程の銃についてアベルが「サイティングに癖がない」と言っていた意味が理解出来た。
「もう少し下を狙うといいですよ。六時の方向を」
なるほど。
僅かに下げたサイティングで、そのまま一発。また一発。マガジン一本を撃ち尽くす。
「こりゃ難しいぜ」
イヤーカフを下ろして。
「グルーピングが手の平どころか拳の内に収まっているのですから、十二分に上出来ですよ」
「かなあ?」
狙撃手に手ほどきを受ける術師というのも珍しく感じられるが、シラスはこれを新たな術式に応用するつもりでいた。
銃という効率を突き詰めた攻撃機構を馴染ませた身体で制御しつつ、同時に魔術を編み上げるというのはストイックなシラスならではの発想であろう。
さて。ひとまずはこんなところか。
後は雑談――反省会。それからもう一度やってみよう。
「銃を扱うならば毎日一発でも弾を撃って感覚を忘れないことですよ」
――それが聖夜であっても、ね。
※担当『pipi』