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『聖女』アナスタシア
『聖女』アナスタシア
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かつて軍に志願した日は、全てがキラキラと光って見えた。
雪が降っているというのに何もかもが温かく、私を包み込んでくれるように感じた。
この国に身を捧げるつもりだった。臣民を守るという、尊い使命に恋をしていたのだ。
だというのに、皮肉なものだな。
誰かを守りたくて軍人になったはずのに、その誰かを犠牲にしなれば自分の身を守ることすらおぼつかない。
あの日以来、主は私の祈りに応えて下さらない。暗闇の中をただ歩いているのだ。
たくさんの命を浪費した先がこの有様だ。これ以上の笑い話があるだろうか。
……私を軽蔑しているか。贖罪を誓い、人々に希望を見せておきながら、何もかも捨てて逃げたこの私を。