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心温
心温
イラストSS
ちらつく雪を一片手にとって。エーリカはエンジェル・ブルーの瞳を夜空へと向けた。
ほうと白い息を吐けば。家の奥からラノールが温かいココアを持ってやってくる。
彼の顔をみているだけで。寒さに震える事も。誰かに怯える事も。もう、しなくても良いのだと心が安らぐ。
「寒くはないか?」
青年がブランケットを少女の肩に掛けた。
温かさと優しさが抱かれた肩から伝わってくる。
姿を。故郷を。名を捨て。夜に紛れて漂っていた彼女を照らしたのは、濃紺に煌めく星だ。
与えられた言の葉は一つ一つ、エーリカの胸に落ちてきて。
気づけば暖かな光が彼女の心に灯っていた。
死にたくないと願っていた、星に焦がれた鳥は。その煌めく星に抱かれて愛を知った。
灰色だった彼女の世界は、ラノールと共に色彩を覚え。広がり。
同時に押し寄せる。
よろこび。
しあわせ。
高鳴る鼓動を隠す事はもうしない。
ラノールに身体を預け、一緒にラピスラズリの空を見上げる少女。
儚く、今にも壊れそうだった『夜鷹』は、もう見当たらない。
愛を知った少女と傍らで寄り添う青年が居るだけ。
星の数を数えながら、暖かな家で心安らぐ一時を。
共に過ごそう――
※担当GM『もみじ』