ギルドスレッド
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待ち惚けの館
「(くっ……!)」
(地面に押さえつけられ、飛んでくるのは踵――先ほども仕掛けられたように、腕が片方しかない分足技に長けているのであろう。
しかし、これは。勢い任せな分、随分と読みやすい。
真っ直ぐ迫る踵を、必死で身を捩り頭を動かし、何とか直撃を免れる。
しかし顔にピッと傷が走り、血が流れた。全てを躱しきることは出来ず、繰り出された踵落としの衝撃の痛みに顔を顰めたが……それに気を取られている場合ではない。
相手が足を置き終わるより早く、もう片方の足に自分の足を掛け、蹴とばそうと。
何とか相手の体勢を崩せないか、それを念頭に、やれることを瞬時に見極めようと)
(地面に押さえつけられ、飛んでくるのは踵――先ほども仕掛けられたように、腕が片方しかない分足技に長けているのであろう。
しかし、これは。勢い任せな分、随分と読みやすい。
真っ直ぐ迫る踵を、必死で身を捩り頭を動かし、何とか直撃を免れる。
しかし顔にピッと傷が走り、血が流れた。全てを躱しきることは出来ず、繰り出された踵落としの衝撃の痛みに顔を顰めたが……それに気を取られている場合ではない。
相手が足を置き終わるより早く、もう片方の足に自分の足を掛け、蹴とばそうと。
何とか相手の体勢を崩せないか、それを念頭に、やれることを瞬時に見極めようと)
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●山賊の捕縛依頼
ローレット・ギルドの依頼というのは、甚く不思議なものだ。
召喚されるまで、或いはギルドへ所属するまでは犯罪として定められ、破れば監獄島へ島流しされてしまうことさえ、時に依頼として舞い降り、ローレットの名のもとに公的な仕事になる。
「ええ、こちらの山賊たちの捕縛、首だけでも構いません。
この者たちはあまりにも、罪のない人々を殺して、奪いすぎました」
ギルドの職員が、依頼の紙を持ったチェレンチィに説明する。
幻想の端、広大な森へ身を潜めた、名の売れていない山賊の捕縛依頼。捕縛といっても、首さえ持ち帰れば殺しても良い。
山賊は人数も少なく、一般市民だけを相手にする弱小者ばかりであった為に、通常の八人編成で行われる依頼へは発展せず、その場へ居合わせたチェレンチィのみへ依頼された、ちょっと特殊な依頼だ。
「良いですよ。でも、山賊たちの命には期待しないで下さいね」
前金を受け取ったチェレンチィは、ギルドの受け付けを背に、地図に記された幻想の森へと向かった。
まさか、そこに山賊以上の面倒事が向かっていることも知らずに……。