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待ち惚けの館

【来客RP】暗殺者と義賊

来客:チェレンチィ

●山賊の捕縛依頼
 ローレット・ギルドの依頼というのは、甚く不思議なものだ。
 召喚されるまで、或いはギルドへ所属するまでは犯罪として定められ、破れば監獄島へ島流しされてしまうことさえ、時に依頼として舞い降り、ローレットの名のもとに公的な仕事になる。

「ええ、こちらの山賊たちの捕縛、首だけでも構いません。
 この者たちはあまりにも、罪のない人々を殺して、奪いすぎました」

 ギルドの職員が、依頼の紙を持ったチェレンチィに説明する。
 幻想の端、広大な森へ身を潜めた、名の売れていない山賊の捕縛依頼。捕縛といっても、首さえ持ち帰れば殺しても良い。
 山賊は人数も少なく、一般市民だけを相手にする弱小者ばかりであった為に、通常の八人編成で行われる依頼へは発展せず、その場へ居合わせたチェレンチィのみへ依頼された、ちょっと特殊な依頼だ。

「良いですよ。でも、山賊たちの命には期待しないで下さいね」

 前金を受け取ったチェレンチィは、ギルドの受け付けを背に、地図に記された幻想の森へと向かった。
 まさか、そこに山賊以上の面倒事が向かっていることも知らずに……。

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「……!」

多少強引だった背負い投げは、見た目ほど重くない体重により重心を保てず前へ揺れた。
軽いチェレンチィに対し、本人の体重を叩きつける背負い投げは相性が悪かったか、同時に訪れるジクっとして痛みに表情を少し歪めた。
なるほど。舐めてかかっていたのはこちらだったらしい。

「調子に乗るな……」

フードで暗くなった表情からでも微かな怒りが伝わるだろう。
痛みと共につぅっと腕を伝う鮮血は地面へボタボタと落ちるが、それを気にも留めずチェレンチィを鋭く睨みつけ、腕にしがみ付くチェレンチィを地面へ押さえつけると片足を大きく上へ振りかざした。
刹那、怒りと勢いに任せた踵がチェレンチィの顔に迫る。

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